なんちゃって石井式のオーディオルームですが、床の作りも石井先生の教えに忠実に、カチカチの固い床を作ります。
床のベースは地下室の駆体を作っている鉄筋コンクリートのスラブ。その上にセルフレベリング材を流して固めて、床の不陸(ふろく。デコボコのこと)をならしてありますから、その上に直貼りできるフローリング材を貼っていきます。
直貼りできるフローリング材の選択は以前書いた記事でも悩んでいたのですが、千葉の以奈場木材さんが扱っている直貼り用のケンパス、無垢の一枚板にしました。
ケンパスというのはマメ科の南洋材で、線路の枕木なんかに使われる素材。固くて比重が重いので振動を抑える効果は抜群。湿度による伸縮もそんなに大きくないので、湿度の影響が未知数の地下室の直貼りでもちょっと安心。見た目は少しカリンに似ていますが、カリンよりグッとお安く、特価ですが平米あたり5000円以下という、超お手頃価格がうれしい。
さて、素人がフローリングに初挑戦です。
板は、1週間ちょっと前に届いていたのですが、すぐに現場に入れて、梱包を開け、現場の空気の温度と湿度にならしておきました。
まず、部屋に実際に板を並べてみて、板の間隔と必要な枚数を確認。
湿度が高い時期に板が伸びて突き上げないように、板と板の間には0.5ミリぐらいの間隔を空けます。微妙な隙間を目分量で調整するのは難しいので、同じ厚さのスペーサーを挟みます。板材には梱包を縛るのに使うPPバンドを短く切ったものがスペーサーとして入っていました。枚数が全然足りないので、板の梱包に使ってあったPPバンドもはさみで切って使います。
壁際は巾木で隠れるぎりぎりぐらいまで空けておくために、合板を挟んであります。
部屋の両側に板を並べて、同じ枚数で同じ幅になることを確認。幸い、板と板の間を少しだけ広めに取れば、板を切らずにちょうど部屋の幅が埋まりそうです。板目を流す長手方向も、900ミリの板材と600ミリの板材を組み合わせてちょうど収まる長さ。電動丸ノコの出動は最小限で済みました(ちなみに、ケンパスは堅くて割れやすい素材で加工が難しいそうですが、丸ノコで切る限りは柔らかい合板なんかよりもよほどスパッと切れて気持ちよく加工できました)。
板を敷く場所が決まったら、板の端と端の間を結ぶ平行線を墨壺で引いて、貼っていく間に平行が崩れないようにする目安にします。
手を抜いてところどころにしか引いていませんが、これは面倒でも全数墨を入れておいた方が圧倒的に後が楽。
板取りが決まったら、決めた場所からずれないように端から板を床に貼り付けます(ずれてしまったら、接着剤が固まる前なら、板をゴムハンマーで叩いてずらして修正できます)。 以前の記事でプロの読者さんからいただいたアドバイスコメントに従って、エポキシ系接着剤を使用。フローリングの直貼り用では定番らしい、コニシボンド E350Rを、楽天最安値のお店で購入。
ご存じのとおり、エポキシ系接着剤は、主剤と硬化剤を同量ずつ混ぜると硬化が始まるので、使う前に正確に計量してよく混ぜないといけません。それには100均ショップの大型カップ、料理用へら、大きいボウルが大活躍。
混ぜ終わった接着剤をボールから床に流して、櫛目コテで塗り伸ばし、板を貼り並べていきます。
ズボンの裾やシャツの袖口など、そこら中に接着剤がついちゃうので、ダメになってもいいぼろ服で作業すること。あと、床板の表面にもあちこち接着剤がついてしまいます。固まってしまうと取れなくてすごく汚くなるので、ついたらすぐに濡れぞうきんで丁寧に拭き取るのが鉄則。
あと、面倒でも、接着剤を混ぜたり流したりするときは、使い捨てのビニール手袋を装着すること。手に着いていると作業中あちこちにつけちゃうし、固まると爪からは取れないし皮膚はぼろぼろになるし、ひどいことになります。
仮並べを始めてから12時間近く格闘の末、どうにか完成。吸音壁の下はケーブルの配線用に床から浮かして施工してもらっているので、板が多少伸びても余裕で隙間が空いています。
素人仕事の割にはきれいにできた気がします。ゴムハンマーで叩いてもしっかりした手応えのある、カチカチで剛性の高い、美しいフロアが10万円以下でできました。ハウスビルダーさんに頼んだら、たぶんフローリング材だけで平米あたり10,000円は下らないし、貼り手間工賃と合わせれば数十万円のコスト削減。
とはいえ、大変な作業です。途中で「無理をせずにプロのきれいな仕事にお金を払えばよかった」とちょっと後悔したのはないしょです。
湿気の多いシーズンを無事乗り越えてくれますように…
付録・用意した物リスト:
- 板材を切るために
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床に板材を割り付けるために
- 5メートルのメジャー
- 墨壺と墨汁
- 壁際にはさんで隙間を空けるためのベニヤ板
- スペーサー(PPバンドをはさみで切っておく)
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接着剤を混ぜて塗るために
- 接着剤でダメになってもかまわない作業服
- 下に敷く広めのダンボールかビニールシート
- 100均の目盛り付きカップ×2(主剤用と硬化剤用)
- 100均のゴムべら×2(主剤と硬化剤をカップから掻き出す)
- 100均の大きなボウル(主剤と硬化剤を混ぜるので、底が平らなヤツ)
- 100均の大きなへら(混合用)
- 使い捨てビニール手袋
- 櫛目ごて(接着剤のおまけについてきた)
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接着剤を塗った床の上に板を貼るために
- 濡れぞうきん
- ゴムハンマー